大正、昭和初期に活躍した女性俳人杉田久女の命日の1月21日、功績を偲ぶ「久女忌」を小倉北区の圓通寺で執り行いました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨年に続き、会員や俳句愛好者を中心に35人が集いました。
今年で26回目。林久照、慧照ご住職による読経のなか参列者が一人ずつ白菊を祭壇に手向けたあと、吉富和男会員が100年前の大正12年(1923)に久女が詠んだ3句
<草むらや露草ぬれて一ところ>
<龍胆や入船見入る小笹原>
<雪道や降誕祭の窓明り>
を、読み上げ献句しました。
東京から参列してくださった久女のお孫さんの石太郎さんが、「久女が愛されているのをうれしく感じる。100年がたっても皆様としめやかな場を持てるのは幸せなこと。積み上げてきたものが未来に続いていくことを期待している。久女が17音に込めた生き方を少しでも共有していきたい。」とお礼のごあいさつをいただきました。

今年は、北九州市立文学館の小野芳美学芸員による講話をしていただきました。杉田久女の未発表作品原稿「観自在菩薩」について、昭和9年当時の久女の事情や心情変化を読み解いて解説していただきました。学術的な研究に引き込まれる1時間でした。