平成31年1月21日(月)午前10時から、北九州市小倉北区妙見町の圓通寺で、久女忌が執り行われました。

 最初に、久女・多佳子の会の久末隆彦会長が、「久女の代表句のひとつ『花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ』は、100年前の大正8(1919)年に、久女が俳句を始めてわずか3年で詠まれた。この句碑は小倉北区の堺町公園にあるが、この句碑を建立した先人に感謝の意を表するとともに、久女の天性の才能に賞賛の意を表したい。」と挨拶しました。


主催者挨拶をする久末会長

 

 続いて、ご来賓としてご出席いただいた北橋健治市長から、「昨年1月に、小倉城庭園内に『杉田久女・橋本多佳子記念室』をオープンした。そこに、櫓山荘に実際にあった灯籠(とうろう)、蹲(つくばい)、榻(とう ※ながいす)を、ご遺族にお願いして展示している。今後とも杉田久女、橋本多佳子の業績を称える取組みを続けていきたい。」と、ご挨拶をいただきました。


来賓挨拶をする北橋市長

 

 その後、圓通寺の林久照住職、慧照師がお経を上げてくださるなか、参加いただいた約60名の方々が、一人ずつ久女の好んだ白菊を手向け、偲びました。

続いて、当会の小川巌会員が、

花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ(大正8(1919)年6月ホトトギス雑詠入選句)

バナナ下げて子等に帰りし日暮かな

夜寒さやひきしぼりぬく絹糸(きぬ)の音

を、朗々と読み上げ、献句しました。

久女の句を献句

 

 最後に、久女のお孫さんの石太郎様から、ご遺族を代表して、「長年、自動車技術に関わってきた。近年は自動運転の技術開発が盛んである。しかし、こういう時代であるからこそ、人間とは何かを考えるうえで、自然の豊かさや俳句の世界は、とても重要ではないか。」とご挨拶をいただきました。

 

遺族を代表してご挨拶する石太郎氏

 

 久女忌に続いて開催された講話会では、講師である北九州俳句協会の福本弘明会長から、「久女を訪ねて」という演題のもと、子供時代から現在に至るまで、氏の俳句や久女との関りをソフトな語り口で、お話していただきました。また、講師から、久女になじみの深い「鶴の子」の菓子がおみやげとして配られ、参加者にお持ち帰りいただきました。お心遣いに、感謝いたします。

講話をされる福本弘明北九州俳句協会会長